マイホーム購入に関するFP相談で、「物件価格の上限額はいくらくらいか?」という質問の次に多いのが、「頭金はどれくらいいらた方がいいのか?という質問を多くいただきます。
頭金について、どう考えたらいいのか?をFPの視点から紹介します。
「頭金2割」といわれていた理由
少し前までは、「頭金は2割準備しましょう」ということを言われましたが、なぜ2割といわれていたかご存知でしょうか?
実は、以前は住宅ローンは基本は物件の8割までしか借りることができませんでした。
このため、物件価格100%を借り入れする場合、諸費用ローンなど、通常の住宅ローンより金利が高い金利のローンを組まなくてはならないかったり、場合によっては借入ができない場合がありました。
このため、「マイホーム購入を購入する場合には2割の頭金を準備しましょう」というように言われていました。
しかし、今は物件の100%どころか諸費用も住宅ローンで低い金利で借り入れをすることができるようになりました。
なので今は物件価格の2割を準備することなく、マイホーム購入をすることができるようになりました。
逆に言うと、頭金を入れても入れなくてもいいだけに選択肢が難しくなっています。
毎月の返済額が決まる要素
住宅ローンの毎月の返済額は
- 借入金額
- 借入期間
- 金利
の3つで決まります。
借入金額が多くなれば、月々の返済額が増え、借入金額が少なくなれば月々の返済額は減ります。
また、借入期間が短ければ、月々の返済額の負担は増え、借入期間が長ければ月々の返済額の負担は減ります。
そして、金利が高ければ月々の返済額が増え、金利が低ければ、月々の返済額が減ります。
この3つの要素が毎月の返済額を決める要素になります。
特に、借入金額、借入期間はマイホーム購入をする人の価値観や年齢、家族構成などによって変わってきます。
頭金をどれくらいいれるか?
では、価値観や年齢、家族構成など、さまざまなパターンで頭金を入れる、入れない、入れるとしたらどの程度の金額を入れるのがよいのかを紹介します。
なるべく早く返済したいけど月々の返済額は減らしたい人
例えば、住宅購入の時の年齢が43歳。退職年齢が60歳で、「なるべく退職のタイミングには住宅ローンの支払いを完了したい」と考えている人の場合、借入期間が17年になります。
もちろん、45歳であれば、一般的な住宅ローンの場合、借入期間は35年で組むことができるので、「退職のタイミングで繰り上げ返済」という選択肢もありますが、あえて極端な例で紹介したいと思います。
借入期間を17年として
- 借入金額:3000万円
- 金利:0.6%
- 返済プラン:毎月返済(ボーナス返済なし)
の場合、毎月の返済額は154,723円になります。
これが、頭金を1000万円いれた場合、借入金額は2000万円となり、月々の返済額は103,149円とほぼ3分の2の返済額となります。
もちろん、収入や住宅ローン以外の支出によって異なりますが、一般的には月々の返済額が約15万円というのはかなり負担感がおおきいのではないでしょうか。
このように、月々の返済額の負担感が大きいような場合、頭金をある程度入れる方が、月々の返済額の負担が減り、気持ち的にも余裕のある生活ができるのではないかと思います。
両親などからの援助があった場合
マイホーム購入の際にしばしばあるのが、両親などからの資金援助です。
大きな買い物をする場合に、子どもの負担を減らすために、サポートしてあげたい・・・親心としてはとてもわかる行動化と思います。
親子間といえど、金銭などの授受があった場合、「贈与税」が発生します。
一般的な贈与の場合、税金がかからない基礎控除額は110万円となっています。
例えば、住宅購入以外で親から子供に500万円のお金が渡ると控除の110万円をさしひいた390万円に贈与税がかかり、その税率は20%にもなります。
しかし、子どもが住宅購入を目的とした資金の場合は特例として、非課税の枠が大きくなります(物件や、贈与の時期によって非課税枠は異なります)。
なので、両親などから贈与があった場合はその資金をしっかりと頭金として活用するしないと、余計な税負担が掛かってしまうことになります。
資産運用できるなら
現在は超低金利時代となっています。
預金で利息がつかない代わりに、住宅ローンの金利も超低金利になっています。
いろいろな条件はありますが、変動金利であれば、0.6%を下回る金利で借り入れることも可能です。
金利が0.6%の場合、100万円を35年借りたとしても、金利負担は総額で108,921円となります。
つまり、100万円借りると約111万円返済することになります。
これに対して、100万円を35年間2%で運用することができた場合、35年後の資産は約200万円となります。
3%の場合は、約280万円です。
つまり、マイホーム購入の頭金に100万円をいれるかわりに2%で運用することができれば差額は約90万円、3%であれば差額が170万円になるということです。
超低金利時代を上手に使って、なるべく低金利で借りて、手元資金は運用することで長期的に見て差額を上手に得ることも考えてもいいでしょう。
しかし、この場合、月々の返済額の負担が他の支出、例えば子どもの進学費用などに影響しないかなど、しっかりと確認する必要はあります。
ファイナンシャルプランナーと一緒に資金計画を考えよう
いかがでしたでしょうか?
資金の特徴や価値観、考え方、リスク許容度、将来の生活プランなどによって、頭金を入れる・入れない、入れるとしたらいくら入れるかなどは、異なります。
損得だけではなく、日々暮らしていく中での負担感や今後の支出の増減によっても頭金だけでなく、物件価格やローンの返済方法などしっかりと考えていく必要があります。
ファイナンシャルプランナーは、金銭的な損得だけでななく、将来の生活スタイルの変化や子どもの教育費の増加なども考慮しながら、資産運用による、「お金に働いてもらう」ことも考慮に入れた、マイホーム購入のアドバイスを行っています。
あなたやあなたの家族だけでは考えることができないような、プランを提案してくれることもあるでしょう。
住宅購入は人生の中で最も大きな買い物といっても過言ではありません。
そんな大きな買い物の場合には、専門家であるファイナンシャルプランナーの知識と経験を活用して、悔いのない有利な物件価格、返済プランを立てましょう。