ご相談に来られている人のイメージとしては、「今の老人はきちんと年金がもらえていいな」という感じなのですが、実は、すでに年金を受け取っている人でも毎月の収支が赤字になっているようです。
家計調査報告(総務省/平成23年度)によれば、60歳以上の 夫婦世帯の平均収入が約22万2,000円なのに対し、平均支出は約26万5,000円。
つまり、毎月4万3,000円の赤字になってしまっています。
シングル世帯はというと、平均収入が約12万1,000円で、平均支出が約15万2,000円。こちらも約3万1,000円の赤字です。
つまり、この赤字は貯蓄を取り崩して補わなけれ ばならないということ。
巷では「今のお年寄りは恵まれている」なんていいますが、決して余裕のある家計とはいえませんよね。ちなみに、夫婦世帯の平均支出 額26万5,000円とシングル世帯の平均支出額15万2,000円は、日常の生活費としては「最低限」に近い水準といえます。生命保険文化センターが 行った意識調査でも夫婦2人で老後生活を送るために必要と考える「最低の日常生活費」は、平均で22万3,000円という結果が出ています(生命保険文化 センター「生活保障に関する調査」平成22年度)。
ゆとりある老後にはいくら必要?
老後はそれまでがんばってきたご褒美にゆったりとした生活を楽しみたいという人も少なくないのでは?
「年に1度は海外旅行に行きたい」
「趣 味やお稽古事をしたい」
「孫にお小遣いをあげたい」
「たまには、お芝居を楽しみたい」
…など、これくらいのことはやっていきたいですよね。
では、いわゆる これらを実現する「ゆとりある老後」を送るには一体いくら必要なのでしょうか?先ほどと同じ、生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」(平成22年度)によると、「ゆとりある老後」に必要だと考えるお金の平均は、毎月36万6,000円とのこと。このゆとりを考えると、夫婦2人の世帯で毎月 必要になるお金が約15万円もアップすることに。現実はなかなか厳しいですね…。
5年間の公的年金の「空白期間」に注意
ちょっと前までは、公的年金の受け取りは60歳からでした。
60歳から公的年金が受け取れれば、60歳で定年退職を迎えたとしても、年金生活に入れますから問題はありませんよ。
しかし、今の現役世代は、65歳からの受け取りになっています。
60歳で退職してしまうと5年間は無収入ということになります。雇用延長や再雇用などもありますが、50代と同じだけの収入がある方は少ないと思います。
さらは年金の受給開始年齢を68歳、70歳まで後ろに倒すという案まで出てきています。こうなると、リタ イア後の年金の「空白期間」の収入をどう確保するのか切実な問題です。
現役時代には何とか家計をやりくりできていた家庭でも、この年金空白期間の赤字で貯蓄がすごいスピードで目減りしていくということも考えられます。
困らないために知っておきたい老後のお金
心配ばっかりしていても仕方ありませんので、不安に思ったいまから準備することが大事です。
考えるステップは
1.老後にいったいいくら不足するのかを知る?
2.老後の楽しみのためのお金がいくらくらい欲しいか考える
3.どんな方法でお金を準備するか考える
です。
数千万円という大きな金額を 一気に貯めるのは難しいので、できるだけ早いうちから、毎月コツコツとお金を殖やしておくことが大事です。
月々1万円程度からでも積み立てて貯金や運用に早いうちから慣れるようにしておきましょう!
ある程度慣れてきたら、本当に必要な金額を準備できるように、具体的な貯金・運用の金額や商品の選択を行って、不安のない老後生活のための準備をしていきましょう。