2024年から新NISAがスタートし、これまで投資や資産運用に興味がなかった人も証券口座を開設し、資産運用を始めようとしています
普段の生活でもお安いモノに目が行ってしまいますが、最近のYoutubeやネット記事などでも「コストが安い投資信託がよい」という記事が多く、相談に来られる人の中でも「コストが最安値の〇〇がいいですよね?」と聞いてくる方も少なくありません
今回はコスト(かかる費用)について、本当にいいのかを考えてみたいと思います
投資信託のコストは3つある
コスト、コストと言っていますが、投資信託にかかる費用には3つあります
その3つというのが次のモノになります
- 購入手数料:購入時の手数料
- 信託報酬:年間の保有コスト
- 信託財産留保額:売却時のコスト
ただ、ネット系の証券会社の場合、購入手数料がゼロ、信託財産留保額を設定している投資信託も多くないため、実際の費用としては信託報酬のみとなっている投資信託も多いのが現状です
ですので、「コストが安い」というときは多くの場合は信託報酬を指します
信託報酬の仕組み
信託報酬は、投資信託の運用や管理にかかる費用のことです。
費用は投資信託の基準価額の計算時に預けた財産から日々差し引かれるので、投資家が別途支払う必要はありません
また、基準価額は信託報酬を差し引いた後の金額が表示されています(後でここが重要になります!)
信託報酬は投資信託によって異なり、0.1%以下の商品から1%以上の商品もあります
投資信託を運用するにあたっては信託報酬以外に投資信託が保有する株式や債券などを売買するときにかかる取引費用や監査にかかる費用などもあるのですが、簡単に目にすることができませんので、多くの場合、信託報酬を目安にするする人が多いようです
信託報酬が低い投資信託がよい投資信託なのか?
では、信託報酬が低い投資信託がよい投資信託なのでしょうか?
わたしは信託報酬が低い投資信託がよい投資信託とは思っていません
また、とても難しい話になってしまうかもしれませんが、そもそも「よい投資信託」とは何か?を決めなくてはいけません
人によって「よい」と感じるポイントはさまざまだと思います
- リスクが低い
- リターンが高い
- 大手が運用している
- 運用方針がわかりやすい
など、さまざまな「よい」がありますので、一概には「これがよい投資信託」とはなかなか言いにくいと思っています
話を単純化するために「よい」=「リターンが高い」とするとします
あなたは次のA、Bの投資信託のどちらを選びますか?
A:信託報酬0.1%、5年間で基準価額10,000円 → 13,000円
B:信託報酬1.5%、5年間で基準価額10,000円 → 20,000円
わたしだったら、Bの投資信託を選ぶと思います
「信託報酬の仕組み」の章でお伝えした通り、基準価額は信託報酬を差し引いた後の金額が表示されています
Bの投資信託を保有している人はAを持つい人よりたくさんのコストを払っているかもしれませんが、Aに比べて大きなリターンを得ています
「よい投資信託」=「リターンが高い」という条件であれば、信託報酬の金額は考えずパフォーマンスのよい投資信託を選ぶ方がより資産を増やすことができます
信託報酬を比較するのは投資方針が同じ商品を比較する時だけ
信託報酬を確認するのは、同じような投資方針(投資先の市場や運用方法など)の投資信託があったときに信託報酬が低い方を選ぶ方がリターンはよくなります
同じ投資で、値動きが同じならコストが大きい方が基準価額が小さくなるからです
例えば、
- A社のS&P500インデックスファンド 信託報酬:0.5%
- B社のS&P500インデックスファンド 信託報酬:0.1%
と同じ運用方針であれば、B社の商品を選ぶ方がよい結果となる可能性は高くなります
ネットやメディアの情報は、読者が興味を引くように加工がされていることが多いです
また、これらの情報はあくまで多数の人に向けての情報で「あなたに適した情報」であるるかどうかはわかりません
あなたに適した情報を得るためには、いろいろなメディアや本から情報収集をしたり、経験豊富なアドバイザーやファイナンシャルプランナーに相談するようにしましょう