2010/06/25
株式会社ミツカン労働組合 阪支支部さま「住宅購入基礎知識セミナー」
株式会社ミツカン労働組合 阪支支部の組合員さま向けにセミナーをさせていただきました。福利厚生の制度変更に伴う勉強会でした。
単にローンの組み方だけではなくて、住まいを考えるときの優先順位や購入のタイミング、メリット・デメリットや住宅販売の裏話なども含めて楽しくきいていただけるようにお話させていただきました。
住宅購入は損得より「価値観」
住宅購入相談はFP相談の中でも相談の件数が多い内容です。
相談の中では、「マイホームを購入したいが物件価格はどれくらいが適正なのか?」といった、購入するのが前提の購入物件の予算についてのご相談もありますが、
- マイホームを購入するのと賃貸とどちらが得か?
- マイホームを購入するとして今がよいのか、それもと数年後か?
- 購入するとして、一戸建てとマンションのどちらが得か?
といった損得に関しての相談も少なくありません。
しかし、このような相談の場合、実は明確な答えがなく、その人の「価値観」が大きく影響することが大半です。
マイホーム購入と賃貸どちらが得か?
マイホームを購入するケースと賃貸で一生涯暮らす場合とをキャッシュフロー表でシミュレーションした場合、多くの場合、「マイホームを購入した方がキャッシュフロー表は有利」という結果になる場合が多いのが現実です。
しかし、実際に本当にマイホームを購入する方が有利かといえば、そうとも限りません。
キャッシュフロー表によるシミュレーションの場合、賃貸の場合、家族構成の変化による住み替えなどが考慮されず、家族構成が最大人数のまま家賃が設定されていたり、持ち家のケースのシミュレーションでは、修繕費などが考慮されていなかったり、金額が少なめだったりするケースが散見されます。
当たり前の事なのかもしれませんが、経験したことがないことをシミュレーションするため、どうしても予想に正確性が低くなってしまうため、精度が荒くなってしまう傾向があります。
それにプラスして、自分自身の考え方がシミュレーションに反映されてしまい、賃貸派の人は賃貸の方がよい結果に、マイホームを購入派の人はマイホームを購入する方がよい結果になってしまう傾向があります。
つまり、どちらの方が損得ではなく、価値観によってシミュレーションに影響が出てしまうのであれば、自分の価値観に合わせた暮らし方をするのがよいのではないかと思います。
マイホームを購入するとして今がよいのか、それもと数年後か?
「今は土地の価格が上がっているから」
「中国の影響で建材価格が上がっているから」
「万博が近づくともっと地価が上がるから」
などと、「今買う方がいい」「もう少し待った方がいい」など、いろいろな情報が飛び交います。
しかし、住むところというのは、損得だけでなく、住む人のタイミングなどにもとても影響します。
もし、数年後の方が安く購入することが出来たとしても、子どもの入学に合わせて住まいを決めたいとしたらどうでしょうか?
安く購入できる数年後まで、別の学区に通学させるのか、少し割りだけでも子どもの入学に合わせて購入するのか、どちらがいいのでしょうか?
他人が、「どっちがいい」と決めることはできませんよね?
マイホームを購入の損得を取るのか、子どもの環境をとるのかは人それぞれだと思います。
損得だけでなく、ライフイベントも住宅購入にはとても影響することになります。
購入するとして、一戸建てとマンションのどちらが得か?
例えば、大阪市内の場合で考えれば利便性がよいようなところで一戸建てを購入したいと思っても価格が高くて購入することは難しいかもしれません。それに対してマンションであれば市内で駅チカでも手に届く金額の物件があるかもしれません。
しかし、マンションの場合、前後左右の住人とのトラブルがあったらどうしよう・・・と考える人も居るかもしれません。
マンションの場合、毎月の修繕積立金、管理費を負担に考える人もいるでしょう。
戸建ての場合、修繕積立金や管理費などは不要ですが、外壁や屋根の修理・メンテナンスの時には一時に大きな支出になっていまいます。
これだけ考えても、どちらの方がよいかはその人の価値観によって変わります。
大事なのは「身の丈予算」
これまで何度も紹介しているように、賃貸か持ち家か、マンションか戸建てかなどは、住む人の価値観であって、損得だけでは縛られるものではありません。
賃貸であっても持ち家であってもとても大事なのは、「身の丈予算」です。
住むところに支払うお金が賃貸なのか購入費用なのかは別にして、その支払いが、食費や趣味、自分が行いたいことにとって負担にならないかどうかが重要なことになります。
本当にやりたいことをガマンしてまでお家にお金をかける必要がありませんが、住まにお金をかけることで得ることが出来る満足感やあんしんなどがあれば、それは価値があることだと思います。
お金の使い方は人それぞれ千差万別です。
納得ができるお金の使い方をしてもらえたらと思います。