清文社より、『上手な資産運用で確定拠出年金(日本版401k)を活かす本』を出版しました。
確定拠出年金加入者のためためにライフプランから資産運用までをわかりやすくご紹介している本です。
ファイナンシャルプランナー4人が、ファイナンシャルプランニングの視点から確定拠出年金で運用する方、特に初めて運用を行う方にもわかりやすく、そして 確定拠出年金がライフプランのなかで重要なことをわかっていただけるように執筆しました。
簡易なライフプランソフトもご利用いただけます。
確定拠出年金加入者へアドバイスを行うファイナンシャルプランナーの方にも参考になる本です。ぜひご購入ください。書籍は大型書店やネット書店(アマゾ ン)などで販売されています。まとめてのご購入につきましては、メールにてお問い合わせください。
以下、2021年1月追記
確定拠出年金の活用のポイント
2008年にこの本が出版された時は、確定拠出年金はマイナーな存在でした。
現在(2021年)、個人型確定拠出年金はiDeCoという愛称がつけられ、多くの人が知るようになりましたし、企業型の確定拠出年金を導入する企業もどんどん増えています。
当事務所のご相談でも、資産運用の相談ではお客様の方から、iDeCoの名称が出て来たり、「iDeCoで運用したい」というご指名もあるほど認知されています。
そんな中で確定拠出年金を利用するときのポイントをお伝えします。
確定拠出年金の税制メリット
確定拠出年金の税制メリットは、3あります。
拠出金は全額所得控除の対象
確定拠出年金の拠出金(掛金)は全額が所得向上の対象です。給料などを受取った場合、給料から所得税、住民税が天引きされますが、この所得税、住民税がかからないという意味です。
所得税は所得によって5~45%、住民税は10%が課税されています。
つまり、10,000円の給与から最低でも所得・住民税合わせて1,500円を税金として納めています。
この1,500円が還付されるという事です。
確定拠出年金口座の中には預貯金などの元本確保型の商品もあります。
極端な話、お給料の1万円をそのまま預金においておくのではなく、確定拠出年金口座に入れれば、1,500円が年末調整などで受け取ることになります。
これを30続けるとどうなるでしょうか?
預金に置いておくだけでは、360万円ですが、確定拠出年金口座に入れれば、確定拠出年金の中で360万円と還付金が30年間で54万円(1,500円×12ヵ月×30年)をうけとることができます。
つまり、資産が54万円増えたといっても過言ではありません。
運用益が非課税
通常、株式などの売買や預貯金の利息には20%の税金がかかります(その他復興税など別途必要)。つまり、20万円の利益があったとしても、約4万円の税金が引かれて、実際の利益は16万円となってしまいます。500万円の利益だ、税金の差が100万円にもなります。
受取時にも非課税部分あり
受取時には一時金受取の場合、退職所得控除、年金で受け取る場合、公的年金等控除の対象になります。
会社の退職金や公的年金の金額などにより、どの程度非課税が適用されるかは、その人によって異なりますので、「全て非課税」という人もいれば、あまり非課税の対象にならない人もいます。
60歳までは引き出しができないことに注意
上述のように、確定拠出年金には大きな税優遇がありますが、拠出したお金は原則60歳まで引き出すことはできません。
このため、60歳以前に使う予定があるようなお金まで確定拠出年金に入れてしまわないように注意をしましょう。
具体的には、結婚資金や子どもの教育資金、住宅購入資金、車の購入費などが考えられるかと思います。
60歳で受け取らなくてもいい
確定拠出年金は、何も60歳で受け取る必要はありません。現行(2021年時点)では、「60歳以降70歳未満」で受け取りを開始すればよいことになっています。
例えば、65歳まで働いているので、すぐに確定拠出年金の中のお金が必要ないということであれば、65歳以降に受け取ればよいのです。
また、受け取りを「開始」すればいいので、例えば67歳から20年間年金で受け取る、といったことも選択できます。
受け取りは、確定拠出年金をスタートするときに決める必要はありません。給付を受けたいタイミングで受け取り方法を指定すればよいので、その時の状況に合わせて受け取り方法を考えていただく事ができます。
制度は今後も変わっていく
確定拠出年金の制度は制度開始後、何度も変更されています。例えば、制度スタート当初は公務員などは確定拠出年金は利用できませんでしたが、現在では利用が出来るようになっています。拠出の上限額なども変化しています。
また、今後も拠出金を掛ける期間を60歳以降も可能にしたり、受取開始の時期を繰り下げするようなことも検討されています。
ある程度、制度の変更も把握して、その時その時にベストな選択をしましょう。